となりの紀田くん
言い合いをしながら
ぐるっと一周して
出口までやって来た。
「今日来れて良かった!!私の我が儘に付き合ってくれてありがとう!」
決して可愛いほうではないゆあ。
でも、俺からしたら
どんな美人やぶりっ子よりも
世界一可愛く見える。
「ゆあ?」
呼んだのは俺じゃない。
違う誰かだーーーーーーー
「瑠威…………!」
ゆあが目を丸くして
"るい"と呼ばれたやつの
もとへ駆け寄る
俺もゆあの後を
追って歩き出した。
「お、やっぱゆあじゃん!久しぶり!!何、彼氏とデート?」
「ち、違うよ!ただのクラスメイト!」
確かに間違ってはない。
けど、その言葉に
傷ついてる自分がいる。
「へえ、じゃあさ!ゆあ、今から俺とデートしよ!」
は?
いきなり何を
言い出すんだ
コイツは…………
「先約、俺だから。お前にゆあは渡さない」
出来る限り低い声で
威嚇するように言い放つ
「紀田、何で怒ってるの?それに瑠威の発言は90%が嘘と冗談で出来てるから大丈夫!」
笑顔でグーっと
親指を突き出す。
そんな生半可な言葉
信用出来ねー………
「おいw でも、まあそーいう奴なんで許してね………テヘッ☆」
こいつもこいつで
おちゃらけて笑っているけど
人間の本心なんて
外見だけじゃ分からない。
「瑠威、相変わらずだね……」
「ゆあも、全然変わってねえな………」
「そ、そうかな?」
なんかすっげえムカつく。
嫉妬とかまじダセーけど
ゆあは誰にも渡したくない。
そう思ったら
いつの間にか
ゆあの腕を掴んで
歩き出していたーーーーー