となりの紀田くん
「ちょ、ちょっと………紀田!急にどうしたの?何で怒ってるの?」
「別に怒ってねえよ」
「怒ってるじゃん!!」
ダンッ!!
俺はゆあを壁に
押し付けてから
壁を思いきり殴った。
「紀田………」
怯えたように
体を震わせるゆあに
我に返る
昨日に引き続き
何をしてるんだか俺は。
「わりい。今から話したいことがある………だから、俺ん家来てくんねえか?」
「え、あ…………うん。」
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「相変わらず、ひっろい部屋だね~」
「そうか?」
「そうか?…………じゃないよ!あんた、金持ちだという自覚症状ないわけ!?」
「ないな………」
だって両親からの
仕送りなんて
一千も使って
ねーもん。
あんな奴等の
世話になんか
死んでもなりたくない。
「とりあえず座ってろ。飲みもん持ってくるから」
「うん、ありがとう!」
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「紀田!この、卒アル見ていい!?」
部屋に戻ってきて
テーブルに着くなり
ゆあが卒業アルバム片手に
目を輝かせてる
「猿は人ん家を勝手に漁るのが趣味なのか?」
「べ、別にそんなんじゃないよ!ただ気になったから」
必死に言い訳をする
こいつが無性に
可愛く見えて仕方がない
「見れば?」
どうせ全部話すんだし。
見られても問題ないだろ。
たとえ、それで幻滅されて
嫌われても仕方ないよな。
俺の両親は、それだけの
大罪を犯しているのだから。