となりの紀田くん



「どこ行くー?」





「カラオケ行こうぜ!」





「おっ、いいね!」





「じゃ、今日は俺の奢りな!」






「さすが!金持ちの言うことは違うな」





それなりに名の知れた
大財閥の娘とアメリカで
大企業を経営している男が
結婚して生まれた子供……





それが俺だった。





何一つ不自由なく
育ってきて
一人っ子だからって
たくさん甘やかされてきた。






それは今も同じ………






「や、やめて………!!」





二人の少し後ろを歩いてた俺が
裏庭横を通りすぎようと
したところで女の声がした。





ふと裏庭方面を見ると




「不知火先輩………」





(要の方)がいて
数人の男に囲まれて
腕を掴まれているではないか。





「ん、裕也どした?」




ああー…………めんどくせえ!
でも、昔っからこーゆーの
ほっとけないんだよな。





「ごめん、忘れもんしたから取りに行くわ!先、行ってて!」





「おう、いつもんとこな!」




俺は二人を先に行かせて
不知火先輩のもとへと赴いた。





ーーーーーーーーーーー




「おい、やめろよ」





「あ?」





「嫌がってるのがわかんねえのかよ」






「んだてめぇ、1年は引っ込んでろよ!!」





数人の中の男一人が
俺に殴りかかってきた。





「んなもん、喰らうかバーカ」




ドスッ





俺は相手の攻撃を避け
ものの数分で男達を蹴散らした。





「年上のわりには弱いな。ところで先輩、大丈夫?」





「こ、怖かったぁあああ…………」




「うおっ!」





俺の問いかけに
我に返ったのか
不知火先輩が
抱きついてきた。





いつも口うるさくて
意地っ張りのくせに
意外と可愛いところ
あんじゃんか………





って何言ってんだ俺。
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