となりの紀田くん
「何で、要先輩の顔なんか…………」
今頃もう…………
俊は告白してるんだろうな。
要先輩は何て返事を
したんだろう?
そもそも要先輩って
好きなやつとかいたのかな?
つーか………………
バカだろ俺………
もうさこれ。
要先輩が好きだって
言ってるような
もんじゃねーか……………
俺は家を飛び出して
全速力で走り出したーーー
ーーーーーーーーーーー
ついた先は学校。
あたりは真っ暗で
さすがにもう帰ったか?
それか、まだ俊と…………。
ドキドキと高鳴る鼓動を
加速させながら
校門をくぐり
下駄箱へ向かう。
そこでーーーーーーー
「紀田くん?」
先輩の声が聞こえた。
「先輩!!」
驚いた先輩の顔。
好きって自覚したら
先輩が可愛くて
愛しい気持ちで
いっぱいになった。
「どうしたの?忘れ物?」
「俊は?」
先輩の瞳が微かに揺れる
やっぱ告白されたんだな……
「羽麻くんなら………もう帰ったよ?」
「ねえ、何て答えた?」
「急にどうしたの?」
「いいから答えて」
先輩にも俺が言ってる事の
意味は通じてるみたいで
「断ったよ………」
俯きながら答える。
そっか断ったんだ。
最低だとは思うけど
その言葉にホッとしている
自分がいて……………
「私、好きな人がいるから」
ホッとしたのも束の間
先輩の口からそんな
言葉が漏れる。
やっぱいるよな。
モテるって有名な
先輩だし…………
先輩を好きな男子なんて
きっと山ほどいるのだろう。
でも、譲る気なんて
これっぽっちもない。
だって気づいちまった
もんはしょーがねえし
気持ちなんて簡単に
消せないだろ?
なら、当たって
砕けろだーーーーーー
「先輩が好きな人は誰?」
「何で、そんなこと聞くの?」
「そんなの…………
先輩が好きだからに決まってんだろ」
「え…………?」
「俺は要先輩が好きだ。だから俺と付き合って」
俺なりの精一杯の
正直な気持ち。