となりの紀田くん
俺の言葉に驚いたのか
口をパクパクさせる先輩
何その反応
可愛いんだけど………。
「先輩?」
「…………もーからかわないでよ………びっくりするじゃん………」
は?
「何それ………俺、本気なんだけど」
慌てる先輩を
思いきり抱き締めて
耳元で囁く
「あのね、実は私も紀田くんが好きなの。私を助けてくれた、あの日からずっと………」
嘘だろ…………
これ夢じゃないよな?
「先輩………好きだ。」
「私も好き。」
まさか両想いだなんて
思ってもみなかったーーー
告白して良かった。
でも、これを知った俊は
俺の事をどう思うんだろう?
だからって嘘はつきたくない。
俊は大切な親友だから
全てを打ち明けるつもりだ。
ーーーーーーーー
次の日
「はよ!」
「俊………」
「どうした?そんな辛気臭い顔して………具合悪いのか?」
「昨日どうだった?」
知ってるくせに
何聞いてんだ俺は。
「あー、告白ね。振られちゃった!先輩、好きな奴いるんだって!」
と笑いながら言う俊。
辛いはずなのに俺に
心配かけまいと
笑う俊に胸が痛む。
「あのな…………俊」
「なにー?」
「俺、先輩と付き合うことになった。俺も先輩が好きなんだ……」
「知ってるよ、俺を誰だと思ってんの?お前の親友だぜ?気づかないわけねーじゃん」
俊…………
「でも、もう付き合ってるってのは予想外だったな。」
「昨日、自分の気持ちに気づいて、走って学校戻った。そしたら先輩だけ残ってて………」
俺は昨日の事を
話して聞かせた。
「良かったじゃん!つーか気づくのおせえくらいだよマジで!」
「俺の事、嫌いになった?」
「何で?」
「だって俺………俊を裏切って………」
「裕也………お前は俺を意図的に裏切ったわけ?」
「ち、違う!」
「なら問題ねーじゃん!誰が誰を好きになるかは人の自由だし、それがたまたま同じ人だったってだけ。そして俺より裕也に魅力があったってだけの話し。だからそれは裏切ったなんて言わねーの」
「ごめん………」
「おいおい、謝んなよ!それに他の奴に取られるくらいなら、親友のお前とくっついてくれた方が全然いいわ!」
「俊…………ありがとう。お前、最高の親友だわ!!」
「うをぉっ!くっつくな!きしょい!」
俺は最高の親友を持ったな。
改めてそう実感したーーーーー。