となりの紀田くん
それから何事もなく
日々は過ぎて行き
昴先輩は卒業して
要は3年生
俺は2年生
となっていた。
といっても
もうすぐ要も卒業。
進路は地元から
かなり離れた
高校に通うみたいで。
「要ー帰ろうぜ!」
「うん、ちょっと待って!」
今は下校時刻。
俺は要を迎えに
行くために
3年の教室まで
来ていたーーーーー
「ごめん、お待たせ!」
「おせえよ、バーカ……」
「ごめんてば!何か奢るから!」
「いいよ、別に。それより早く帰ろ?」
要に手を差し出して
俺たちは歩きだした……
向かった先は
要の家ーーーーーー
そーいや、1年以上も
付き合ってて
要ん家行くの
今日が初めてなんだよな。
「なんか、緊張する」
「そんな、緊張しなくても大丈夫だよ!うち、お兄ちゃんしかいないから!」
「え、両親は?」
「うちの両親、既に他界してるの」
と悲しげに笑う要。
「そーなんだ………ごめん」
「気にしないで、もうずいぶん昔のことだし!ほら、うちここね」
「ほー、でけえ。」
要ん家も金持ちなんだな…。
ってあれ?親いないのに?
「おじゃましまーす」
「お、裕也!久々じゃん!」
「昴先輩!」
「さすがにもう先輩はやめろよ………」
苦笑いしながら
俺の頭をくしゃくしゃする
「じゃあ、昴さんは?」
「んー、まあ先輩よりはマシだな。」
「もー、お兄ちゃん!裕也、先に私の部屋行ってて!階段上がった真っ正面の部屋だから!」
俺は言われるがままに
階段を上がり
要の部屋へ向かったーーー