となりの紀田くん
「長かったな~。ってゆーか、本気で今まで私に愛されてると思ってたわけ?」
「どーゆーことだよ」
「全部嘘だよ………私があんたを好きになるなんて絶対にありえない。」
「嘘だろ?冗談だよな?」
「バカな裕也は私の言葉が理解出来ないのかな?嘘って言ったら嘘なんだよ。なのに、ずっと騙されちゃってさー、本当バカだよね。」
全部…………嘘?
俺を好きだと言って
くれたことも
俺に向ける笑顔も
俺に抱きついたのも
キスしたのも?
「ぜーんぶあんたを地獄に突き落とす為に仕組んだ罠。」
何もかもが
全て仕組まれた
事だったなんて
そんな事…………
信じられるかよ。
「どう?最愛の彼女に裏切られる気分は?」
再び笑顔に戻った
要が俺に絡み付いてくる
「どうして…………」
「どうして?……………はっ。本当に何も知らないの?自分の両親がどれ程の罪を犯したのか…………私の口から明かしてあげる。」
「俺の両親?」
「うちの両親はね、あんたの両親に殺されたのよ………」
何言ってるんだ要は?
俺の両親がそんなこと………
だってあんなに
優しくて一生懸命な人が
人を殺せるハズがない………
「変なこと言うなよ………」
「変?自分の親に聞いてみたら………?まあ、必死に隠すでしょうけどね………」
「やめろ!変な言いがかりつけるな!!なあ、要………全部嘘だろ?」
「嘘じゃないよ…………」
答えたのは要ではなく
昴さんだった………
「俺が全部、提案した罠だ。一度だってお前らを忘れたことなんてない。お前は小さかったから覚えてないだろうけど……俺ら不知火家と紀田家は仲が良かった。」
じゃあ、これが
その時の写真………
「その仲をズタズタに引き裂いたのが、お前の両親なんだよ。さらに、金で人を雇って交通事故に見せかけて殺して………」
「嘘だ!!」
あまりにも苦しくて
聞いていられなくて
俺は要の家を飛び出したーー
「逃げられないよ裕也。これからもっと深い闇に落ちる………だから貴方には私が必要でしょう?」
そんな要の声は
俺には届いていなかったーーー