となりの紀田くん
しかしーーーーーーーー
「誰から聞いた!?」
父は血相を変えて
俺を怒鳴りつけた
「誰だっていいだろ……」
「そうか………要から聞いたんだな。あの両親の娘だもんな………って事はお前、昴も知ってるだろ?」
「知ってるよ………同じ高校の先輩だったし………それが何?」
「もっとよく調べてから入学させるべきだったな………まさか、あいつらがいるなんて………今すぐ転校するぞ!」
急にベラベラと
語りだした父に
俺はイライラしてきた
母は何だかそわそわ
してるみたいで
「なあ、やってないよな………人殺しなんて。」
それが一番聞きたいんだよ
「や、やってるわけないだろ!!お前は親も信じられないのか!!」
バシンッ
一瞬何が起きたのか
理解できなかったけど
右頬がジリジリと
熱くなってきたことに
ああ、叩かれたんだ
そう、理解した
「お父さん!!」
驚いて声を荒くして叫ぶ母
「す、すまん………叩くつもりは。でも本当にやってない………信じてくれよ………あの家族が勝手に交通事故を引き起こして…………」
は、ちょっと待てよ。
俺は殺したの?って聞いただけ。
なのに何でわざわざ
交通事故で死んだって
言う必要がある?
あれだけの豪邸なら
もちろん名も知れているはず。
いくら交通事故とは言えど
門閥貴族の主人と奥様が
同時に亡くなったなんて
世間に知れたら大問題に
なるだろう……………
そうなれば殺人事件の
路線で捜査も始まってしまう
だってあまりにも
不可解な事件だから。
それを避けるためにきっと
犯人は報道を避けているだろう。
つまり報道されていない事件を
うちの父が知ってるのはおかしい。
だってこれじゃあまるで
俺がやりましたって
言ってるようなもんだ。
「何で交通事故ってわかった?」
「ち、違うの!ゆうちゃん!」
何も答えられなくなった
父のかわりに母が
言い訳をする
違うって何が?
「もういいよ…………」
俺は家を飛び出したーーー