となりの紀田くん
最愛の彼女からは
愛されておらず
信じてた親友には
裏切られ
そんな俺を救ってくれるのは
大切な両親の存在だったのに………
あの優しい両親が
実は犯罪者で
おまけにそれを
必死に隠すために
俺を殴って…………
金持ちだから
何だって言うんだよ
こんな汚いことに使う
お金なら全部捨ててしまえばいい
俺は、全てを失った。
俺が生まれてきた意味は何?
これが俺の人生?
たまたま通りかかった歩道橋
その丁度真ん中で足を止める
下を眺めれば沢山の車が
行き来しているーーーーーーー
全てを失って
これからどう
生きていけばいい?
もしこれが俺の
運命だと言うのならば………
今ここで居なくなっても
構わないよな?
歩道橋の柵に足をかける
そしてポケットから
ストラップを取り出す。
要からプレゼントされた
お揃いのストラップ
要と笑いあった日々
例え、それが全て
偽りだったとしても
俺にとっては最高に
幸せな日々だったから
こいつと一緒にーーーー
固く目を瞑って
体を少し宙に浮かせる。
そこでーーーーーーーー
「ダメっ!!」
大きな声が俺の
耳元を掠めたーーーーー
その声の方へ視線を動かすと
見たことのない同い年くらいの
女の子が、俺の方へ歩いてくる。
俺は柵から足を下ろして
「何が?」
酷く冷めた声で
そう訪ねたーーーーーー
「え、いや………てっきり自殺しようとしてるのかと思って…………」
「なわけねーじゃん。落とし物があったから眺めてただけ」
一瞬、本当に
飛び降りようと思った。
けど、阻止されたのには
きっと何か意味があるんだよな?
ストラップだけが
闇の中へと消えてゆく。
「え、じゃあ探しに行こうよ」
「もういらねーよ」
「え?」
「それより、ありがとな。」
「え?え?」
ありがとう。
俺を助けてくれて………
急にお礼を言われて
あたふたしている彼女に
精一杯の笑顔を向けて
俺は歩き出したーーーーー