となりの紀田くん
「あんだよ………うるせぇな」
あからさまに不機嫌な
顔をこちらに向け
むくっと起き上がる
「なんかね、前回の中間の数学で赤点取った人は……今回の期末で80点以上取らないと……夏休み無くなっちゃうんだって!」
私が真剣に伝えると
眉間に皺を寄せて
「だからどうした?」
素っ気なく返してくる。
相変わらずうぜぇーーーー!!
でも……ここは鈴との
楽しい楽しい夏休みのためにっ
「鈴に数学教えてあげてよ!」
「はぁ?何で俺が、んな…めんどくせぇことしなきゃいけないんだよ?」
「いいじゃん!」
「全然よくない…つーか、お前が教えりゃいーだろ」
「私?」
「お前、そこそこ頭いいじゃん。」
つ、ついに私の頭の良さに
気づいたか………猿め!!
「まあ、俺よりは馬鹿だけどな」
んなっ!?
いちいち一言余計なんだよ!!
「紀田くん………確かに、ゆあ頭はいいけど………」
私たちのやり取りを
見守っていた鈴が
慌てた様子で口を挟む。
「いいけど………何?」
「あのね……教え方が凄く下手なの………」
「…………は?」
鈴の言葉に間抜けな声を出す紀田。
ズキッ
おいおい、鈴さんよ………
地味に傷ついちゃったよ?私…