となりの紀田くん



俺が始めた
最低なゲーム。




こんなのただの
八つ当たりだ。





誰からも愛されていない
という憎しみを
なんの関係もない他人に
ぶつけただけ…………





それに気づかない俺は
たくさんの人を
傷つけてきた。





あんだけ苦しんだのに
やってることは要と
なんも変わんなかった……




でも今、目の前で
真剣に聞いてくれる
コイツのおかげで
それに気づくことが出来た。





「これが俺の過去全て」





震える手を自分で
押さえながら
ゆあを見る。





「大丈夫………」





ぎゅううううっ





力強く抱きしめられた。





本当は普通
俺がやる方なんだけどな





「今だけ甘えさせて……」




「いいよ。」





俺は震えが治まるまで
ゆあの胸の中で
静かに目を閉じたーーーーー





ーーーーーーーーーー




「もう大丈夫」




そう言って
ゆあの腕から離れる





「俺、お前に全てを話した上で伝えたいことがあるって言ったよな?」






「うん。」





「俺は最低な人間だけど………やっと見つけたんだよ」





俺を見つめたまま
動かない視線




「俺はお前が好きだ……」





もう離したくない
離せない





要の時とは違う。






何があっても
必ず守ってやるから。




今日で過去にも
ゲームにも終止符を打つ。





だから、俺を
好きだと言って。
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