となりの紀田くん
「とりあえず、ここに隠れるぞ」
紀田が指差したのは保健室
私たちはとりあえず
そこへ逃げ込み
ベッドの下へ隠れた。
先生いなくて良かったーーー
徐々に近づいてくる足音
それは保健室の前で止み
扉の開く音がした。
来たーーーーーーー
なんとか息を潜めるが
紀田との距離が
あまりにも近すぎて
心臓がうるさい。
「あいつ急に方向転換したかと思えば、もういないし!」
「まじ、どこ行ったんだよー」
「見つけたら、ただじゃおかないから!!」
「つーか、そのカーテンの中怪しくね?」
「確かにーーー」
ベッドのカーテンが開かれ
集団の足がベッドの下から
確認できる…………
どうかこのまま
気づかずに去ってくれ!!!
「っていねーかー」
「もう、いいよ。また明日でよくね?」
「帰ろーっ」
よ、良かったぁあああ!!
解放される!!
集団は保健室から
去っていき
私と紀田だけが
取り残された。
「はぁ、一時はどうなるかと思ったよ………」
「ところで………ゆあ」
「んー、なにー?」
「主人の俺様を置いてくなんて、いい度胸だな」
ドスッ
ベッドに押し倒され
私の上に紀田がーーー
ってえええぇえええええっ!?
何してんの!?
「置いてくも何も………あんたが悪いんでしょ!?」
「へえ、猿の分際で俺に楯突くわけ?」
悪魔スマイルを
浮かべながら私を見つめる
何だかんだそれ
反則じゃありませんか?
「あ、あんたが女子達に付き合ってること言うからでしょーが!」
「はぁ?事実なんだから言ったって良いだろ」
「そのせいで私が追いかけ回される羽目にあってるのに?」
「いいんじゃね?」
また、それか…………
紀田にとって私って
どんな存在?
何か付き合えて
一人で浮かれて
バカみたいじゃん。
これじゃあ
付き合う前と
何も変わらないじゃん………