となりの紀田くん



「はい、出来たよー!」





「ん、さんきゅ」





「味には自信あるから!」






「つーか、何でお前こんなに料理上手いの?」






ハンバーグを
口に放り込みながら
不思議そうに聞いてくる






「うちの両親、家開ける事が多くてさー。だから私が柚の為に、いっつも晩御飯作ってるんだー」






「ふーん。じゃあさ………お前明日から俺のぶんの弁当作ってこいよ」





いつの間にかハンバーグを
ペロリと平らげた紀田が
私の方へ視線を向ける






「何その命令口調」






「主人の言いつけは絶対。だろ?」






だろ?って……………






「私はペットか!!」






「ペットじゃん。猿と言う名の」





「あ、あんたねえ!!」






「あー、うるさいうるさい」





言わせておけば
好き勝手言いやがって!!






紀田を思いきり
睨み付けてから
顔をそむける






その瞬間…………






ぐいっ






力強く引き寄せられたーーー






「わぁっ!」






「そっぽ向くなんて、いい度胸してんな」






悪魔スマイルを浮かべ
ジリジリと顔が
近づいてゆく






私はぎゅっと
目を瞑ったーーーーーー





けれど予想していたのと
違って………





紀田の頭がコツンと
私の肩にぶつかる





恐る恐る目を開けて見ると
小さな寝息を立てて
私の肩にもたれ掛かるように
眠っている





「本当、黙ってればかなりのイケメンなのに………」






私はそう呟いて
彼の頬に軽いキスを落とす………





内緒だよ?
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