となりの紀田くん



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柚を含める1年生の
入学式も終わり
時は放課後






「いやー、一時はどうなるかと思ったよ!瑠威が来てくれて良かった!!」






「俺、まさかの救世主?」





「もー、まじありがと!」





昔みたいに
思いきり抱きつく





「本当、昔と変わんないね、ゆあは………」





瑠威は小さい頃から
ずーっと一緒で
よく遊んでいたけど





中学に上がる手前で
沖縄に引っ越してしまった。





つまり中学で出会った
鈴や悠斗は瑠威の存在を知らない。






そーいえば瑠威が
私の初恋だったんだよね





懐かしい!!





「ねえ」






私と瑠威が
楽しくお喋りをしてると






知らない女子の軍隊が
私の前に仁王立ちしていて







鋭い目で私を睨み付ける。






「どちら様?」





「同じクラスの安藤。あんたさ、紀田と付き合ってるって本当?」






「本当だけど?」






「あのさー、単刀直入に言うけど…………」





ん?何を言い出すんだーーー?






「紀田と別れてくんない?」





は?






「なんで?」





「目障りだから」





「は?」





「紀田に固定彼女はいらないの。だから別れて」






全然理解出来ないんですけど






「さっきから言いたいことばっか言ってるけど、理不尽だよ君たち」





私が呆然と彼女達を
見つめていると
そんな私を庇うように
瑠威が前に出る。






「いや、これは紀田ファンの決まりごとでね………」




「そうそう!」





軍団は急に
声色を変えて
猫なで声で
瑠威に話す





そうかーーーーーーー





瑠威イケメンだもんね。





ってことはさ
あんたらは結局
かっこよければ
誰だっていいんじゃないの?






「あんたらの決まりごとなんて知らないけど、ゆあいじめるのは俺が許さないよ?ゆあは俺が守るんだから」





瑠威……………………






やっぱ瑠威と同じクラスに
なれて良かった!!





瑠威の変わらない優しさが
嬉しくて堪らなくなる。
ありがとう!!






「激しく同意…………ただ、後半部分は俺の仕事だけどな」





ふと私の後ろから
聞き慣れた声が聞こえる





振り返ればいつの間にか
六組のドアに紀田が
もたれ掛かっていたーーー
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