となりの紀田くん



「あ、なんだ。紀田くんも来たの?」




私たちの後を
追いかけてきた紀田が
私の隣に並ぶ





「来ちゃ悪い?」





「別に」




なんか二人とも
会話刺々しくない?
仲良くして欲しいのに。





「で、瑠威!どこいくの?」





「ゆあに見せたい物があるから俺んち!」





「あ、付き添いじゃなくて遊びか!何だろー、楽しみだな!」






私はワクワクしながら
鼻唄を歌っていたーーーーー





ーーーーーーーーーー





瑠威ん家について
驚いたのがまず





我が家の二件隣の
家だってこと。





「うそ!めっちゃ近い!え、全然知らなかった!」






「まあ、昨日越してきたばかりだからな!大きな荷物とかはまだ届いてないし」






あははと笑いながら
コップにお茶を注ぐ





「どうぞ」





「ありがと」





「紀田くんも」





「さんきゅ」




「で、見せたいものって何?」





「あー、それは。夜になってからな」





ん?夜になってから?





どういう意味?





そう聞く前に
「ナ○トでも見るか?」
なんて棚を漁りながら
話始める瑠威





ま、いっか!





「見る!」





「ゆあは、昔からナ○ト好きだもんなー」





「昔よくナ○トごっこしたよね!」





「あー、したした!俺がナ○ト役で、ゆあがサ○ラ役だったよなー」






「うん!早く見よ!」





私の催促で瑠威が
DVDプレイヤーに
セットして再生する




そこからはもう
隣で不機嫌な顔に
なっていく紀田なんか
気にならないほど





瑠威と一緒に
映画の世界に入り込んで





DVDを見終わった後
紀田の顔が引きつってる事に
初めて気づいた。





「何その顔」




「いや、オタクこえーなって思って」





「は?」





「映画見ながら、テレビに話しかけるやつ初めて見た」





何ですと!?
私の熱い情熱を
バカにしないでよ!!




「ってか思ったけどさー」




私が紀田に文句の
一つや二つを
言ってやろうと
考えていると




ふいに瑠威が呟く。




もちろん私と紀田は
瑠威に視線を向け





「紀田くんってサ○ケっぽいよね」





………………………






……………………………






……………………………







確かに!!!
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