となりの紀田くん



「はぁ?何いってんだお前」






「俺はお前じゃなくて桜庭ね。」





「知るか」






「いや、だってさ………クールなとことかめっちゃ似てんじゃん?」






「わかる!!こんな短時間で紀田を分析するなんて瑠威、凄い!!」






私が目を輝かせて
瑠威に近づくと
何故だかもっと
不機嫌になる紀田





何でだ?






瑠威はただの
幼馴染みなのに。






「まあね。紀田くんの性格なんてあれでしょ。性格悪くて妄想激しくてクールぶってるけど実は臆病みたいな?」





瑠威は凄い。
いつからこんなに
人を分析出来るように
なったんだろう?





でも…………






「間違ってはないけど…………それは悪口だよ瑠威。いくら仲の良い幼馴染みでも紀田の悪口言うのは許さない」






私の真剣な眼差しに
瑠威が怯む






「ご、ごめんっ」





「まあ、悪気はないみたいだから許す。でも、もう言わないでね?」





「うん………」






紀田はほんとに
性格悪くて妄想激しくて
口もすごーい悪いけど





ちゃんと優しさを
持っているーーーーーー





「ゆあは、そんなに俺の事が好きなのか~」





急にニヤニヤし出した紀田





「は!?そんなこと言ってないし!!」





「今さら否定したっておせえよバーカ」






否定も何も好きとか
言ってないってば!!





好きだけど………………





「ゆあ、やっぱ今度見せるね」





笑いながら言う瑠威
でも何だか悲しそうで………





「そっか。じゃあ帰るね」





私は紀田と一緒に
桜庭家を出た。





といっても隣の隣なんだけど。
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