となりの紀田くん
「裕也頑張って!!」
え………………
「ははっ。バカだな…………俺が負けるわけないっつーの」
確かに後ろで
紀田がそう言った
その瞬間、一気に
縮まる距離
隣に並ぶ紀田が
笑いながら
「渡さないって言ったろ?」
ドキッ
何だそれ…………
カッコ良すぎんだろ。
いや、俺がカッコ悪い
だけか…………。
ーーーーーーーーーー
「これにて第32回 彰惺(ショウセイ)高校体育祭を閉会いたします。」
体育祭終了後
俺はいちはやく
紀田のもとへと向かう
「おい」
「桜庭」
「負けは負けだ。正直、あれだけの仲を見せつけられたら…もう敵わない。」
「だから、渡さないって言ったろ?」
不機嫌顔の紀田
「お前の言った通りだわ。………………じゃあな」
「待てよ」
「何?」
「お前、まだちゃんと気持ち伝えてないんだろ?」
「だったら何?」
「告白するくらいだったら許してやってもいいけど?」
そうやってイタズラに
満ちた顔で笑う紀田
悔しいけど
この気持ち全てを
彼女に伝えたい!!