となりの紀田くん



「ゆあ!」





走って走って
やっと見つけた。





「瑠威!そんなに息を切らしてどうしたの?」






驚きの顔で俺を見て
側まで小走りにやって来る。






「じゃあ、ゆあ。先に行ってるね」






「またね、ゆあちゃん」






ゆあの隣を歩いてた
榎本さん?と楠?が
何故か俺の方を見なが言う






「あ、うん!で、瑠威どうしたの?」






去っていく二人の
後ろ姿を見つめていたゆあが
俺の方に向き直り首を傾げる。





「話がある…………」





答えもわかっているし
言う意味が無いのかもしれない。





でも、あとで後悔するくらいなら
伝えた方が100倍もマシ。





「うん」





俺とゆあは
場所を変えるため
歩き出したーーーーーー





ーーーーーーーーーーーーー





体育祭ということもあり
校舎内には立ち入り禁止と
なっているため





裏庭にやって来た。






「話って何?」





「ゆあってさー、本当バカだよな」






「は!?」





「ドジだし間抜けだし、お転婆でうるさいけど、誰よりも優しい」





「それって褒めてるの?」





「褒めてるよ」





「貶してる風にしか思えない」






心底嫌そうな顔をして
俺を睨み付ける





頬を膨らまして
わざとらしく怒らない
ぶりっこしないゆあが
俺は一番可愛いと思う。






「俺が、好きって言ったの覚えてる?」






ドッドッドッ





次第に高鳴る胸の鼓動





「あの渡り廊下での話?」





「それも、そうだけどそれよりももっと前の話………約束覚えてる?」






「約束?」






「そう…………………」






思い出して欲しいから
俺は勇気を出して口を開いたーー
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