となりの紀田くん



「俺が引っ越す前………言ったよね?好きだって。」





「うん………」





「その時、約束したんだよ。泣きわめくゆあを泣き止ませる為に、"必ず絶対帰ってくるから"って」







ゆあは昔の記憶を
辿っていくように
少し考える素振りを
見せたあと







直ぐに、ああ!と手を打つ。





「って事は、その約束を守るために戻って来てくれたの?」





「まあ、親父の都合ってのもあるけど、一番はそれだな」





ハハッと笑って
空を眺める





今気づいた……………





今日の空って
こんなに晴天なんだ。





「で、こっからが本題」





そう呟きながら
彼女の方に向き直る





「好きだ………お前のこと。」





「瑠威………」





キスした時点で
気づいてたのか
驚く様子のないゆあ。





それどころか悲しそうに





俺の名前を口にする。





「幼馴染みとしてじゃなくて………一人の女として。」





やっと言えた。
俺の気持ち…………





真っ直ぐ彼女の
顔を見つめる





すると






「言ってくれてありがとう。私も言わなきゃいけないことがある」






彼女は優しく微笑んで
語り始めたーーーーーー






「私ね、あの時…………嘘ついたの」





「え?」





あまりに突拍子もない言葉に
ついつい間抜けな声が出る





「私もね、瑠威が好きだった……一人の男の子として。瑠威はね、幼馴染みでもありながら、私の初恋の人でもあった。」





どいうこと?
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