となりの紀田くん



※優亜視点





「紀田!」





校門を出ようと
している紀田を
慌てて引き止める





静かに何も言わず
振り返った彼に






「ごめんなさい!!!」






大きな声で叫んだ






瑠威とキスして
嘘ついて避けたりして
傷つけてごめんなさい






紀田は道を引き返して
私に近寄り、そっと頬に触れ






「泣くなよ………」





困り果てたような顔で
私の涙を拭う…………






おかしいな
なんで泣いてるんだろう?
でも胸のあたりが
ズキズキと痛んで苦しい。






「渡り廊下で瑠威にキスされて………でも紀田に嫌われたり、傷つけたりするのが怖くて、どうしていいかわからなかった」





もしかしたらもう
紀田に嫌われて
しまっているかも
しれない…………






でも隠して嘘ついたまま
なんて絶対に嫌。






「だから避けてたわけ?」






私はコクンと頷き
ただただ彼の顔を
見つめる





正直、瑠威と話せて
すごくスッキリした。





瑠威の気持ちには
応えられなかったけど
二人の幼馴染みという
枠の絆は






昔以上に深まったと思う。





でも今の私にとっての一番は
どんなに考えたって
紀田しかいなくて………






「わかったから泣くなって。お前は笑ってる時が一番可愛いんだから」







そうやって少年のように
微笑んで私を強く抱き締める






「嫌いにならないで………」






「今さら嫌いになれたら苦労しない。」






「紀田ぁああああ」





「じゃなくて裕也な。」






よかった………
嫌われてなかった。





「お~、熱々のところ申し訳ないけど………どいてくれない?」





私の後ろから瑠威が
やって来て
紀田を睨み付ける





「あ?フラれた腹いせか?」






き、紀田!
何故、それを!?





まさか見てた!?





「確かにフラれたけど、諦めるつもりないよ?」





「てめぇ、往生際が悪いぞ」





「もしも、ゆあを傷つけて泣かすような事あったら、そんときは遠慮なくもらうから」





「そんなこと絶対にねぇ」






相変わらずバチバチと
会話しながら火花を
撒き散らしている二人だけど
案外、気があってるのかも………






なんて思ってるのは私だけ?






そんなわけで高校生活
まだまだ楽しみます!!
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