となりの紀田くん



「あのね…体育祭終わってから1ヶ月………つまり先週くらいの話かな。」






ポツポツと話始めた
鈴に耳を傾ける。






一体何があったの?






「いつも、一緒に帰ってるじゃない?でもね、その日から梓くん………用事があるからって一緒に帰ってくれなくなって……」





淡々と語り継がれる
それには、きっと
抱えきれない程の不安が
詰まっているのだろう。





「でね、最初の方は仕方ないって割り切ってたんだけど………たまたま帰り道見ちゃったんだよね……今日みたいに仲良く腕を組んで歩く二人を……………」






作り笑いを浮かべたまま






これって浮気かな?






なんて言わないで………





「笑わないで」




私でも紀田でもない
声を発した主は瑠威だ。





「桜庭くん?」






驚いたのか不思議そうに
瑠威を見つめる鈴






「そんな悲しそうな顔して笑うな。ゆあにも言ってるけど………泣きたいときは泣いた方がいい。無理に笑って誤魔化しても、自分が苦しいだけだろ?」






「…………うっ…………うぁあああああんっ……」






瑠威の言葉に堪えてた
涙腺が壊れたのか
滝の如く涙を流して
大泣きをする鈴





私はそんな鈴を
思いきり抱きしめた。





「あ、梓くんは…………ひっく…………私のこと………っ…………き、嫌いになっちゃったのかな?」






「そんなことないよ!」





そんなのただの憶測でしかない。







でも私は梓くんが
そんなことをするような
人には見えない…………





もしかしたら何か
理由があるのかも。





「俺、いーこと思いついちゃったー!」





突然の瑠威の発言に
みんなの視線が
彼に向かうーーーーーー





「Wデートしよう!!!」





「え?」



「は?」




「あ?」






それぞれの疑問符が
飛び交うなか





「名付けて嫉妬大作戦!!」






なんて叫びながら瑠威は
イタズラに笑ったーーーーー
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