となりの紀田くん



そんな瑠威の発言から
数日が経ち




今日から待ちに待った夏休み!





「ねえ、本当にこんなんで上手くいくの?」





訝しげな顔で
瑠威を見る私に対して





「大丈夫だって!」





その自信は一体どこから
出てくるのか…………





今日は嫉妬大作戦のための
Wデート決行の日でございます。





でも、実のとこ
瑠威が鈴に対して
好き好きアピールを
しまくっていたが
まったくの効果なしで…………






結局、今日という日を
迎えてしまったわけで。






「じゃあ、ほら榎本さんメールして!!」





瑠威は梓くんに
メールするよう
鈴を促す





「で、俺らは具体的に何をすんだよ?」




「え、普通に遊ぶつもりだけど?」





「え?あぁ、そう。」





「桜庭くん、め、メール送れたよ!」




鈴が携帯の送信画面を
瑠威に見せると





「よっしゃああ!!遊ぶか!!」






瑠威が元気よく
バンザイをしたーーーーー





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「そういえば、メールなんて送ったの?」





ふと疑問に思ったことを
聞いてみると鈴は
私に送信ボックスの中の
一通のメールを見せる





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ゆあカップルと
桜庭くんとWデートしてくる。


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「返事は?」






私の言葉に鈴は
首を横に振る





やっぱダメか…………





その数分後
鈴の携帯が鳴り響く




「返事きた!」





嬉しそうに携帯を
顔の横まで上げて笑う





「なんてきた?」





「待って、今見る!」





慣れた手つきで
携帯を操作して





ガタンっ





それを派手に落とす。





「鈴!?」




「榎本さん!?」





瞳には今にも溢れ出さん
ばかりの涙が溜まっていて





紀田は静かに
その様子を見つめる





「梓くん…………ほんとに私のことどうでもよくなっちゃったのかな?」





彼女の悲痛な言葉が
私の胸に酷く突き刺さる





鈴が落とした携帯を拾って
瑠威と一緒に画面を覗く。





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そうなんだ。
楽しんで来てね



じゃあ、忙しいから
またね。




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