となりの紀田くん
勢いよく開けたドアの
先にいたのは
柚ではなく紀田で…………
「紀田!?何で!?」
「いいから行くぞ!」
「行くってどこに!?」
「いいから来い!」
急に私の手を
引っ張って走り出す………
何?何?
意味わかんない!!
ついた先はお祭りが開催
されている場所で…………
あんなに嫌だって
言ってたくせに………
「何で?」
「だって来たかったんだろ?」
「あんなに嫌がってたくせに………」
「お前となら一緒に行ってやってもいいって思ったんだよ」
「その上から目線やめて」
「うっせえ。つか、そんくらいで泣くな」
「嬉し泣きだバカ!」
「泣き虫猿め!」
悪態ついてるわりに
顔が赤いんですけど。
私の気のせい?
パァンッ
「「「わぁあああああっ//////」」」
花火の音に歓声が沸き上がる……
「花火だ!綺麗だねー!」
涙を拭って紀田に
笑いかける
何だかんだいって
いっつも優しいんだよね紀田は。
ちゅっ
「んっ………ちょ………き、紀田?」
いきなりキスされて
驚きを隠せない私に
「電話に出なかった罰な」
と不適に笑って
一度離した唇を
もう一度重ねる。
こんな幸せな日々が
いつまでも続きますように。
それが私の願い。
大好きな人や
大切な人たちに
囲まれて過ごす
毎日がいつまでも
永遠に続きますように。
だからね、知らなかったんだよ。
そんな私の儚い願いが
たった一瞬の出来事で
脆くも崩れ去るなんて…………