となりの紀田くん
「寝たいならどっか行ったら?」
冷たく言いはなって
私は鈴の方に向き直る。
何故、入学して2ヶ月の
間もない私たちが、こんなに
仲悪いのか………
全ての元凶はあいつなのだが
話は入学式へと遡ることになる。
ーーー入学式ーーー
私は新しい制服に身を包み
ルンルン気分で髪を巻いていた。
「チェックのスカート、昔からの憧れだったんだよね~!あー楽しみっ」
「優亜!早くしないと遅刻するわよ!」
下の階からお母さんが
大きな声で言う
「うわ、もうこんな時間!」
私は慌てて階段を駆け降りた。
「ごめん、お母さん!食べてる暇ないから、これだけ持ってく!」
私が食パンをかじりながら
お母さんに手を振ると
溜め息混じりに呆れた顔で
「まったく……行ってらっしゃい」
と手を振り返してきた。
私はニッと笑って
家を後にした。