となりの紀田くん



「だから、何回言ったら分かるんだよ!?ここは、この公式を使うっていってんだろ!?ほら、もう一回最初からやり直せ!!」




勉強を開始して数時間




なかなか覚えない鈴に
イライラしてきたのか
声を荒げる紀田




いや、教え方は上手いし
鈴の理解能力の無さも悪いけど…




ちょいと…………
スパルタ過ぎないか?




繊細なガラスのハートを持つ
私の愛しい鈴ちゃんは
既に半泣き状態なんだが………。




鈴と紀田が必死にやるなか
私と梓くんはのんびりと
手を進めながら会話する……




「紀田くんの性格の悪さが、さっきのでよくわかったよ」




梓くんが私の耳元で
紀田に聞こえないように
小さな声で話す




「でしょー?無神経にも程があるよね………」




「おい」



そんな私たちのひそひそ話は
聞こえていないはずなのに
何故か紀田が無表情で
私と梓くんの間に入ってくる。




「な、何?」




まさか聞こえてたとか…………?


< 30 / 370 >

この作品をシェア

pagetop