となりの紀田くん
「だから、何回言ったら分かるんだよ!?ここは、この公式を使うっていってんだろ!?ほら、もう一回最初からやり直せ!!」
勉強を開始して数時間
なかなか覚えない鈴に
イライラしてきたのか
声を荒げる紀田
いや、教え方は上手いし
鈴の理解能力の無さも悪いけど…
ちょいと…………
スパルタ過ぎないか?
繊細なガラスのハートを持つ
私の愛しい鈴ちゃんは
既に半泣き状態なんだが………。
鈴と紀田が必死にやるなか
私と梓くんはのんびりと
手を進めながら会話する……
「紀田くんの性格の悪さが、さっきのでよくわかったよ」
梓くんが私の耳元で
紀田に聞こえないように
小さな声で話す
「でしょー?無神経にも程があるよね………」
「おい」
そんな私たちのひそひそ話は
聞こえていないはずなのに
何故か紀田が無表情で
私と梓くんの間に入ってくる。
「な、何?」
まさか聞こえてたとか…………?