となりの紀田くん
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「えぇえええ!?記憶がない!?紀田のだけ?」
「そうなの……刺された時のショックで記憶の一部を無くしちゃったみたいで………」
「じゃあ、俺のことは?」
瑠威の質問に
一瞬ポカンとする私
「やだなぁ、瑠威のことはちゃんと覚えてるよ。」
「じゃあ、告白は?」
「告白?」
「俺の告白」
ドキンッと
とびはねる心臓
瑠威の告白…………
あれ?私、瑠威に
告白なんてされたっけ?
記憶の片隅にあるのは
幼い自分と幼い瑠威。
幼馴染みとしての
好きなら交わしたけれど
「ごめん」
「いや、いいよ………。もう一度言うから………記憶なんて無理に戻す必要なんてないよ。俺はゆあが好きだ…………幼馴染みじゃなくて、一人の女の子として………」
ボッと熱が上がり
赤く染まる私の顔
い、いま、いまっ
告白された!?
「これからは俺の事も、ちゃんと視野に入れてよね?」
不敵に笑いながら
手をヒラヒラさせて
去っていく瑠威の背中を
ただボーッと眺めていた。
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しばらくその場に
ボーッと立っていた私
キーンコーンカーンコーン
チャイム音で我に返った私は
両手で頬を触る
「まだ………熱い。」
私、瑠威に告白された。
「おい、バカ猿。そこで何してんの?」
「うわぁっ」
急に声をかけられて
驚いた私は間抜けな
声とともに
魚のように飛び跳ねて
反射的にそれを避ける。
「いや、本当………何してんの?お前…………」
訝しげな顔で
私を見下す紀田
「もう!驚かせないでよ!」
「別に驚かせてねえよ。つーか下校時刻とっくに過ぎてんだけど。」
一瞬にして無表情に戻った紀田が
鞄を担ぎ直しながら私に言う。
本当に普通だな…………
私のこともう怒ってないのかな?
「何、見てんの?早く帰るぞ」
そう言って私を
ヒョイッと持ち上げる
「わわわ!」
お、お姫様だっこ!?