となりの紀田くん



「辛気臭せぇ顔してんじゃねーよ」



そう言って抱きついたまま
顔を覗かせたのは紀田で



「き、紀田!?何でうちのクラスに!?」



ちょっと前まで
誰もいなかったハズなのに…



「俺が入ってきた事にも気づかねえとかどんだけだよ。本当猿だな、お前」



「はぁ?いきなりなに!?ってか離してよ!!」



紀田を思い切り押して
イスから立ち上がる



なんでこう紀田ってヤツは
すぐ私に喧嘩売ってくるわけ?



「いてーな。暴力女め」


「うるさい!セクハラ大魔王!!」



でもなんか…何だろう?
このやり取り凄く懐かしい。


「ってか、そんな話をしに来たんじゃねんだよ。24日のイブ空けとけよ」



「24日?ごめっ、その日は…」



「強制。はなっから、お前に拒否権なんてないの。じゃ、空けとけよ。」



それだけ残して
教室を去って行く紀田



って!!



「ちょっと待って!!」



慌てて止めに入った
私の声は


紀田に届くことなく
空気となって消えたーーー。
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