となりの紀田くん



ーーーーーーーーーー



「紀田が好き…」


「俺も。」



軽い口づけを交わすと
紀田は笑って



「じゃあな」



背を向けて歩き出した。
待って!行かないで!



けどそれは声にならず
紀田の後ろ姿が
小さくなってゆく



お願い!!行かないで!!
私を一人にしないで!!



最後に笑顔で手を振る紀田が
脳裏に焼き付いたまま




私は薄く目を開いたーーーーー。



ボケーッとする視界



すると「ゆあ!!」と
誰かが大きな声で叫んだ…



「紀田…なの?」



力なく呟いて
私は声のした方を向く



その頃には視界も
ハッキリしていて



現実はそんなに
甘くないと悟ったーーーーー。



「瑠威…鈴に梓くんも…」



「大丈夫!?事故ったって聞いて凄くびっくりしたんだぞ!!」



ハハハッ…
私、みんなを驚かせてばかりだね…
これで二回目だーーーーーーーー。
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