となりの紀田くん
「君は、この役ね。」
そう言ってちょっとした
セリフが書かれた紙を
渡される。
打破する機会さえ
与えないこの強制さ
まさに紀田だ。
でも…高城さんを見ると
楽しそうに笑っていて
やるしかないのね…
「ならみんなでやりましょう!!」
私の提案に
「お、いいねー!大勢の方が楽しいもんね。」
笑顔で賛成すると
他の見学者の子達も
寄せ集めて
アフレコが始まったーーー。
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一通り見学し終わり
時間になったので
集合場所に戻る
けれど戻る途中で
「ねぇ」
高城さんに呼び止められた…。
「はい、何ですか?」
「正直、君…まだ迷ってるでしょ?」
屈託のない笑顔で
私にそう問いかける
高城さん…
どうして分かったの?
何も言わない私の
目をずっと見つめる
高城さんに何だが
気まずくなって
目をそらす…
「君、名前は?」
「ふぇ?」
突然、名前を聞かれて
間抜けな声が出る
思わずそらした目まで
また合わせてしまった…
「う、内倉です…内倉 優亜です。」
何で名前なんて…
とか思いつつ答えると
高城さんは
「ゆあちゃんか!アニメ好きなら迷わずおいで…歓迎するから…。素質あると思うよ…。じゃあ、入学待ってるね!」
それだけ言って
去ってしまった。
何だったんだろう?
でも、何だか高城さんの
おかげで私の道が
決まった気がする。
私…声優になりたい!!