となりの紀田くん



それから私は
必死に勉強した



と言っても頭は
良い方なので



どちらかと言うと
鈴に教えてあげる
ことが多い。



教え方が下手くそだって
怒られるけど…




でもそんな鈴も梓くんと
一緒に見事、大学に合格




私も勉強した甲斐があって
無事、専門学校に受かった。




瑠威もコースは違うけど
同じ専門学校だ。



「冬だね。」



マフラーをぐるっと
巻いて手袋をはめる




「毎日寒いね」



無邪気な鈴の笑顔は
天使みたいで本当に好き。



卒業式までもう少し
今だに紀田からの
連絡は一度もない。



「紀田くん…ちゃんと帰ってくるかな?」



「大丈夫だよ…。絶対帰ってくる。」



私は信じてるよ…
この指輪があるもの



ネックレスにした
指輪を握りしめて
鈴に笑いかけた



「よーお二人さん!」



「鈴おまたせ!!」




後ろから声がして
振り返ると



瑠威と梓くんが
手を振りながら
駆け寄ってきた。



「さぁーて、今から合格祝いでも行きますか!!」



瑠威の元気な明るさは
みんなを温かい気持ちに
させてくれる…



ねえ、紀田。
寂しくないって言ったら
嘘になるけど私は大丈夫だよ。



だって優しくて心強い
味方が私にはいるもの。



貴方は大丈夫?
昴さんとはどうなった?
要さんは元気?



聞きたいことが
たくさんあるけど



今は我慢する。
貴方が帰ってくる
その日までーーーーー。
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