となりの紀田くん




「お待たせ!」




「お待たせ………じゃねぇよ!!準備に30分もかけんな!」




「30分もかけんなって……女の子は普通それくらいかかりますーっ!むしろ私なんか早い方よ!」




ドヤ顔でフンッと鼻を鳴らせば




「は、お前女だったの?猿のオスかと思ってたわ」




馬鹿にしたように鼻で笑い返し
暴言を吐く…………





んの……………くそやろう!!!
今度こそ絶対殴ってやる!!!




「はいはい、早くしないとゆずくんに見つかっちゃうよ?」




私が紀田に拳を突きだそうと
した瞬間、鈴が微笑んで言う。




いかん!!!
柚に見つかったらめんどくさい!




私は渋々と拳を開いて
鈴と一緒に歩き出した。




ーーーーーーー



内倉家からちょっと離れた
老舗が並ぶ大通りに出たとこで




「で、どこいくの?」



疑問に思っていた
質問を投げ掛ける




「ん、俺ん家」




「そっかー……………って…………ええええええええぇっ!?」




私の質問に紀田が
あまりにも普通に答えるから
驚いて叫んでしまった




「いちいち叫ぶなオス猿」




「オスでも猿でもないっつーの!!てか何で、あんたん家!?」




「だってお前ん家は、あのシスコンバカいるし…。図書館とか、意外と人間が多い場所も好きじゃねぇし……。だから俺ん家」




まあ、確かに家じゃ
柚が邪魔で勉強にならないしな…
しょうがないから、いっか。




「そうだね…それがいいよ」



そのまま駅まで向かい
電車に乗って一つ先の駅で降りる。




そこから5分くらい歩いて
紀田家に着いた。




「「「ま、まじか………」」」




目の前に広がるのは
15階建ての高級マンション



しかもオートロックつき。




紀田の家ってまさかの
大金持ち!?




「うち、9階だから…」



エレベーターのボタンを押しながら
そんなことを言う………




905号室



「「「おじゃましまーす」」」




「俺、一人暮らしだから…別に挨拶なんてしなくていいよ」




「一人暮らし?両親は?」




「あー、二人とも今アメリカにいる。うちの親父はアメリカ人で社長やってる」




あ、アメリカだと!?
さらにお父さんが社長!?
私には無縁の世界だ………




うちのお父さんなんて
ただの平々凡々な
平社員だよ………

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