となりの紀田くん



靴に履き替えて校舎を出る
体育館横を通りかかったところで





紀田!?




紀田を見つけたーーーーー
その横には同じ学年の
女の子がいる……




私は咄嗟に近くの茂みに隠れた。





見るからにギャルなその子が
紀田にベッタリとくっついて
髪をくるくるしてる




ギャルのくせして
体育館横で告白なんて
意外とベタだな




「あたしさぁ…紀田のこと好きなんだよね。だからさ、あたしと付き合って。」




お前が好きなのは
紀田じゃなくて
紀田の顔だろ………




ふと頭の中で
そんなことを思う。




いや、別に誰が誰を
どんな形で好きになるか
なんて個人の自由だけどね………




「へぇ………俺のこと好きなんだ?」




紀田の言葉にギャルが頷く




「じゃあさ………キスしよっか?」



紀田がギャルを体育館の壁に
押し付け、自分腕で逃げられない
ように固定する………




なななななな何してんだあいつ!?





私は目を反らしたいのに
体も瞳もその現場に囚われて
ピクリとも動かない………




そして徐々に近づく紀田とギャル




なんだ…………やっぱ………
誰にでもキスできるんじゃん。




あんなにドキトキドキして損した。




そう思った瞬間




さっきまでピクリとも動かなかった体が……………




あっさりと魔法が
とけたかのように………
軽くなって目を反らす



そのままゆっくりと
立ち上がって
歩き出そうとした時




「でも………」



紀田が言葉を発したーーーーー




私の足は紀田とギャルに
背中を向けたまま立ち止まる
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