となりの紀田くん



私たちがしょうもない
やり取りを続けていると



「うわぁあああああんっ」



どこからか泣き声が聞こえてきた。




紀田と私は言い合いを中断して
声のした方に視線を向ける。





目の前で小さな男の子が
風船を手にして大泣き
しているではないか………





そんな男の子の姿を確認するなり
紀田が私から離れて男の子の
方へと歩み寄っていく





自然と私の足も動いた。





「お前……どうした?迷子か?」





「……ママが………グズッ………いなくなっちゃったよぉおおおおっ」





「お前…名前は?」





「ゆ………ゆうや」





「奇遇だな…。俺の名前も裕也って言うんだ………大丈夫、兄ちゃんがお前の………ゆうやのママ探してやるよ。」




紀田…………




私は紀田の意外な一面に
驚きを隠せずにいた。




なら私も!!




「ゆうやくん、お姉ちゃんもママ探し手伝うよ!」




「本当!?」




涙で濡れた瞳をキラキラと
輝かせながら聞いてくるゆうやくん。




ちっちゃい子って本当
可愛いなぁ/////




「もちろんっ!!お姉ちゃんとお兄ちゃんに任せて!!」




私はゆうやくんの
手を握って微笑んだ



ーーーーーーーーー



私ーゆうやくんー紀田




まさにこんな感じで
ゆうやくんと手を繋ぐ



手がめっさちっちゃい/////



「おい、ゆうや……お前のママはどんな服着てる?」



「んー、黒いスカートっ!」



「他には?」



「んー、わかんない」




「おい、黒いスカート履いてる人なんていっぱいいるぞ………」




紀田が困り果てた顔で呟く。
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