となりの紀田くん
「小さい子にそんな具体的な事聞いたってわかるわけないじゃん!」
「じゃ、どーすんだよ?」
「地道に探せばいいのよ!地道に!せっかくの遊園地なんだから、ゆうやくんも乗り物乗りたいよね?」
「乗りたい!!……でも………」
不安げな顔するゆうやくん
「大丈夫!乗り物乗りながらママ探そう?ほら、高いとこから見たらママが見つかるかも!」
まあ、普通に考えて
高いとこから見つかるなんて
ありえないことなんだが………
子供をあやして安心させるのには
十分すぎる言葉だった。
「本当!?」
「本当だよ!ね?、紀田」
「ったく、しょうがねぇな」
紀田はめんどくさそうな
顔をするけれど
なんだかんだ
やってくれるんだ……
「わぁっ」
こうやって私が転びそうに
なった時だって
「ったく、あほ猿!ちゃんと前みてあるけよ!」
悪態をつきつつも
しっかりと私を受け止めて
支えてくれたり……
いつも意地悪なのに
いつも優しい
いったいどっちが
本心なんだろ…………