となりの紀田くん




しかしそんな彼の表情は一瞬で



「そういえばさぁ………」



ジリジリと怪しい笑みを
浮かべながら私に近づく。



「な、何よ………」



後ずさりするが
こんな狭い観覧車の中
すぐに壁の方へ
追いやられてしまう。



私に近づくなり
片足の膝をイスにのせ
両手をついて逃げ道を無くす





そして耳元でーーーーーーー




「さっき…ゆうやに何て言われたの?」




と囁くーーーーーー



ゆうやくん………



私は思い出して
顔を真っ赤に染める



あの時、走って戻ってきた
ゆうやくんが言った言葉………




"おねーちゃんは、ゆうやおにーちゃんが好きなの?"




何で、ゆうやくんは
私にあんなことを
言ったんだろう?



って今はそんなことを
思い出して悠長に考えてる
場合じゃないっ!!!



目の前のこの悪魔を
どうにかしなければ!!



「べ、別に何だっていいじゃない!!そこ退いてよ!」




「教えてくれたらな……」



こんのっ…………悪魔め!!!
ゆずぅうううううっ!
へるぷみーっ!!!



そんな願いは虚しくも
目の前のこの男は
私の顔に自分の顔を近づける。

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