となりの紀田くん
「ああ、まったく………何で私が紀田ん家なんかに、わざわざ出向かなきゃいけないわけ……」
一人とある高級マンションの
前で、ため息混じりに呟く
ピンポーン
インターホンを鳴らし
数分待つと
ガチャ
中から寝起きまんまの姿で
頭をポリポリと掻く紀田が
出てきた………
「お前何しに来たんだよ」
人を出迎える時の
第一声がそれですか……?
「あんたの連絡先……みんな知らないっていうから仕方なく来たのよ!」
「なんのために?」
相変わらず無表情な紀田に
私は苛立ちを覚える……
まじ……………
その口を針で縫い付けてやりたい!!
そしたら間違いなく
静かになるのに………
「まあ、立ち話も難だから、家入れば?」
私が紀田の黙らせ方を
一生懸命考えていると
私を強引に引き入れ
ドアの鍵を締めた。
入れば?……じゃなくて
入れ……になってますけどもww
そのまま私の手を引き
カーペットの上に座らせる
「ちょっと、無理矢理引っ張んないでよね……だいたい入るなんて一言も………」
「あ?お前に拒否権なんかねーつぅの」
なんて邪道なんだ!!
自分勝手過ぎる!!!
「あんた……もうちょっと人に優しく出来ないわけ?」
私がため息混じりに
そう聞くと…
紀田がニヤリと笑って
「十分、優しくしてるけど?」
なんてぬかしやがる……
どこが!?
どんなふうに人に
優しくしてるのか
100文字以内で答えろ!!
とは言えないので
私は紀田をおもいっきり
睨み付けた。