となりの紀田くん



「ゆあちゃんってさ………裕也のこと好きだよね?」




「………はい」




ええ、そうですよ
それが何か?



たった今勢いに乗せて
告ったけどそれが何か?




「そして………今、泣くのを我慢してるのも裕也のせい?」




「へ?」




予想外なその言葉に
間抜けな声が出る




「本当は泣きたいんでしょ?」




私の心の内を見抜くように
首を傾けて顔を覗く




なななななな何よ!?
びっくりするから
いきなり顔覗くな!!




「泣きたくなんてありません!私はいつでも強いです!」




私が作り笑いで
ガッツポーズをすると




「強がりなんだね………泣きたいときは我慢しなくてもいいんだよ?」




いきなり私を抱き寄せて
頭を撫でるーーーーー




昴さんて………優しい人?




私はそこで何か糸が
切れたかのように
泣き喚いた




ーーーーーーーーー




「あ…ありがと…ヒック……ございますッ………も、大丈夫です……」




どれくらい泣いただろう
もう時間なんて分からない




私は落ち着きを取り戻して
素直にお礼を述べる




私の言葉を聞いて
優しく私の頭を
撫でる手を止め
体を離すーーーーーー




けれど何故か両腕を
掴んだまま離さない



え?ちょ………あの……




「腕……離して下さい」



私が上目使い気味に
お願いすると………



「ねぇ………俺にしない?」




俺にしない?



オレニシナイ?



おれにしない!?



え……
俺にしないって何!?
何言っちゃってんのこの人!?
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