となりの紀田くん



私が何も言えずに
あたふたしていると




「裕也なんかやめてさ………俺にしなよ」




言葉を付け足して
もう一度言う……





「冗談ですよね?」





「大真面目だよ……俺ね、ゆあちゃんの事、好きになっちゃった」





意味わかんない………
だって今日初めて
会ったばかりだよ?
しかもほんの一時………





でも………
凄く真剣な目をして
言うから






嘘ではないということが
嫌でもわかる





「なんでですか………」





「なんで………って………。強いて言うなら一目惚れ……かな?」




その言葉にドクンと
鼓動が跳ねる




一目惚れ……なんて
初めて言われたよ………



人から好かれるのは
凄く嬉しいし
有難いけれど




やっぱりーーーーーー




「ごめんなさい……私が好きなのは、今もこれからも……紀田たった一人なんです……」




これが私の答え………




やっぱり好きな人に
好かれてなきゃ意味がない




紀田の変わりなんて誰もいない
紀田だから好きになったんだ…




「そっか………」




私は昴さんの言葉に
ホッとして胸を撫で下ろす




しかしーーーーーー



「……なんて言うとでも思ってるの?」




ニヤッと怪しげな笑みを浮かべ
私を砂浜へ押し倒すーーー




へ!?



嘘っ!?




「俺はねぇ………欲しいものは、どんな手を使ってでも手に入れるよ」




必死の抵抗も虚しく
昴さんが私の服を
破り捨てて




私の胸を触るーーー




い、嫌だよ………
誰か助けて!!!
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