となりの紀田くん



「ごめん……」





「へ?」





急に紀田が謝るから
驚いて間抜けな声になる





何で紀田が謝るの?
悪いのは紀田じゃないのに………






「もう俺から離れんな……」





いつもと変わらない
命令口調なのに





何故か今日の紀田は
弱く見える………






「離れたくても………離れられないよ。だって私……紀田が好きだから」





今度こそ言えた
素直に笑顔で私の気持ちを。





「お前さぁ………やっぱバカだわ……」






そう言うなり私を
抱きしめる紀田………





って…はぁああああああああっ!?






告白の返事がバカって
どーゆーことよ!?





ほんっと性格悪っ!!!
一瞬でも弱く見えるとか
思った私がバカだった……




「バカはどっちよ!ってか、私がバカならあんたはアホだ!!」






「はいはい……お前の話す言葉全てが………"俺が好き"って言葉にしか聞こえない」





「なっ///自惚れないでよ!!この勘違い妄想性悪変態男!!」





「おい………」





「な、何よ!?」






紀田の声が急に低くなるから
ビクッとしてしまう…





「好きって言えよ………」






何かと思えば………
当たり前のように
命令しやがって!!!





「い、言わないし!」




「あ、そう。じゃあ………」





と言ってTシャツの中に
手を入れようとするから





「わ、わかった!言うから、言うから!!」




慌てて止めると
紀田がニヤリと笑った





なっ……はめられた!?
侮れんな、この悪魔…

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