となりの紀田くん
「ほら、早く言えよ……」
「……………好き……」
「全然、聞こえねぇ……」
この、くそっ!!
「…好きだ、バカ!!」
私は勢いに任せて叫んだ
そして一気に顔が熱くなる
「……一言余計」
「う、うるさいっ!!」
「まあ、顔真っ赤な可愛いゆあちゃんに免じて許してやるよ………」
チュッ
紀田が私の頬に軽くキスして
私の手を引いて歩き出した……
ドキドキドキドキドキ
あーやばい
心臓うるさすぎ!!!
どうかこの高鳴る鼓動が
紀田に聞こえませんように……
私がそんなことを願っていると
紀田が急に立ち止まるから
私もつられて止まる
そして首だけ振り返って
「俺もだよ………」
妖艶に微笑む
やっぱ紀田はズルいよ………
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「ゆあっ!!」
別荘に戻るなり
鈴が私に抱きついてくる
「急に出て行っちゃうから、心配したんだよ!!」
瞳に涙を潤ませてる
「心配かけてごめん……ほら、この通りめっちゃ元気だから!」
私は鈴の頭を撫でて宥める
心配かけてごめん……
私はこんな優しい友達を持って
本当に幸せだな………
ありがとね……鈴
「今日はもう遅いしそろそろ寝ようか」
梓くんの提案にみんなが頷き
各々、自室へと戻っていった。