となりの紀田くん
「え……それ本当?」
さすがの鈴も予期して
いなかったみたいで
驚いて聞き返す
「うん……」
「ゆあ……昴さんには気を付けてね。それからおめでとう。」
「うん、気を付ける………ありがとう。紀田は私が守るよ」
「………フフッ……普通逆だよね……」
「あはは………そっか」
鈴にはそんなふうに
茶化されたけれど
これは私の本心………
彼のあの悲しい表情に
要さんと昴さんが
関わっているのなら
私は彼の傍で
彼を精一杯守りたい
彼の力になりたい。
「じゃあ、もう寝よっか」
「うん……」
鈴に全てを打ち明けて
少し楽になった私は
スヤスヤと深い眠りについた。
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そして訪れた最終日
さすがに海で遊ぶのに
飽きた私たちは
室内遊びをして
お昼過ぎくらいに
別荘を後にしたーーー
「おい、起きろ。オス猿」
帰りの新幹線で
眠くなった私は
いつの間にか隣の
紀田に寄りかかって
寝ていたみたいだ………
それにしても起こし方……
どこから持ってきたのか
バナナを私の頬にツンツンしてくる
おちょくってんのか!?
「もう……つっつかないで!!」
私は紀田の手からバナナを
踏んだくって皮を剥いて
一気に食べきる………
「うわ………今の食いっぷり……本物の猿みたいだわ……ドン引き。」
紀田が完全にドン引いた
顔で私を貶す
「……あんた、やっぱナ○トにボコされちゃえばいいよ………いや、いっそのことサ○ラでもいいよ…」
「だから、その二次元キャラで表現すんのやめろって!お前はオタクか!?」
私のしょうもない呟きに
紀田がリアルなツッコミを入れる
オタクじゃ悪いか?
悪いのか?
私は紀田を思いきり
睨み付けた。