となりの紀田くん
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悠斗が転校してきてから
1週間が経った
「そこ…俺の場所なんだけど?」
「あぁ…ごめんね?今日から、ゆあの隣は俺の場所だから……裕也くんはあっち」
「ゆ、悠斗!!」
まだ出会って1週間
だというのに
なんでこんなに
仲が悪いのか………
私と紀田のときより酷い。
あ、あまり紀田を挑発するな!!
「お前……何しに来たの?」
「何って…愛しのゆあに会いに来たの」
「振ったくせにか?」
おいおい…紀田くんよ
それは禁句だぞ
地味に傷つくから…ね?うん。
「昔は昔、今は今でしょ?」
そして悠斗…お前はよく
そんな事が言えたな!!
「あぁああああああ!!もう、やめぇえええええええいっ!!」
私は大声で思いきり
叫んだ…………
ここが屋上で
良かったと思うよ
本当……
「相変わらず、声でけぇな」
紀田が自分の耳を塞ぎながら
眉間に皺を寄せる
「あんたらが、喧嘩ばっかしてるからでしょ!!ちょっとは仲良くしなさい、仮にもクラスメイトなんだから!!!」
紀田と悠斗は、顔を会わせれば
必ず喧嘩を始める………
むしろ喧嘩しない日なんて
無いっていうくらい。
「俺、裕也くんと仲良くなれる気がしない」
「それは…こっちの台詞だ」
私に反論するや否や
火花を散らし
いがみ合う二人
あぁ…もうダメだコイツら。
私は諦めて鈴の隣に
腰を降ろした………
「お疲れ様…」
「うん…死ぬほど疲れた。」
私と鈴が大人しく
昼食をとっている間も
二人のいがみ合いは続いたーーー
気づけば放課後
紀田と悠斗が私に
近寄るより先に
教室を飛び出したーーー
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はぁ…一人って幸せ。
今、凄く清々しい気分!!
のんびり校舎内を歩いていると
「ゆあちゃーんっ!」
梓くんが手を振りながら
走ってきた
「お!梓くん!」
「今、暇?」
急にそんな事を聞いてくる
梓くんを不思議に思いながらも
「まぁ、暇っちゃ暇かな。」
そう答えた。
「じゃあさ、弓道部の練習見に来ない?」
梓くんが笑顔で言う
弓道部の練習かぁ………
面白そうだし行ってみようかな
私は大きく頷いて
二人で弓道場へ向かった。