夢物語
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大学を辞めてから、オンラインのバイトをしている。
一人暮らしの女一人を支えられるくらいは稼げる。
お金には困っていない。
ただ、これから何をしていくかは考えていない。
....考える必要なんかない。
「もう夜だ。」
今日も私は外へ出る。
....あ。
鍵を机に置いたままだ。
まぁこんなボロアパート狙うやつなんかいないだろうし、まぁいいか。
そう思いながらアパートの階段を降りる。
これは人生の教訓としている事だが、夜に手持ち無沙汰になってはいけない。
どうしようもなく悲しく、苦しくなってしまうから。
どうせまだ死ねない私は、それに耐えるくらいなら暑くても寒くても、外にいる方がいい。
割と星空は綺麗なんだ。
月が見えるともっといい。
音の少ない音楽を聴いて道を歩く。
今日は少し違うところに行こうか。
そう思い、いつもと違う道を歩いて土手へ向かう。
「ここをまっすぐ渡る。よし。」
のんびりフラフラと歩く。
五分ほど歩いた時、何かが道に落ちているのを見つけた。
「....プリクラ。」
ザ・女子高生の言葉。
もう二度と、使う事はないだろうな。
昔は何かあるたびに撮りに行ってたな。
私達は全員クラスに友達がいなかった。
六人全員、もれなくクラスがばらばらでもれなくぼっちだった。
だからこそ、放課後は楽しかった。
イヤホンから音楽が流れてくる。
So are you happy now?
【それで、あなたは今幸せなの?】
「....あぁ、ダメだなぁ。」
星空を見上げると、同時に涙がこぼれ落ちた。
「....抜け出せない。」
私はまだ記憶の中にいる。
その中は彼女達が笑っていて、とても楽しそうだ。
あなた達がいるなら、私は幸せだった。
私も早く、そっちに行きたい。
そんな願いは、誰かの失礼に値するだろうか。
でももう苦しくて辛いんだ。
辞めてしまいたいと強く思う。
ごめんなさい神様。
こんな不届きな願いでも聴いてくれますか。
もうダメなんです。私は。
でも勇気がないんです。
「....明日、死ねますように。....帰ろう。」
無駄だと思いつつも神に願い、家路に着こうとUターンする。
すると、いつからいたのだろうか、男の子と目があった。
ずっと私の後ろにいたのだろうか。
高校生くらいだろうか。
....もしかして独り言も聞かれていたかな。
少し気まずくて、軽く会釈をしてその場を立ち去ろうとした。
「....ねぇ。死にたいの?」
「えっ?」
「どうして死にたいの?なんで誰かに死を願うの?」
「....一体誰だか知らないけど、君には関係ないよ。」
「....。」
「....初対面の人に自殺の理由を聞くなんて、失礼だね。」
「自殺の方が失礼だ。」
「....。」
何も言えなかった。
彼の目はずっと私を捉えていた。
これ以上その目を見ていたら、何か壊れてしまう気がして、走ってその場を後にした。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
久しぶりに走った。
体が汗ばんで気持ち悪い。
早くシャワーを浴びよう。
土手を降りてからは歩いた。
家に着くまで、ずっとあの男の子の言葉が繰り返された。
『自殺の方が失礼だ。』
彼はなんでああ言ったのだろうか。
過去に何かあったのだろうか。
そもそも誰なんだ。
....彼女達も、そう思うのだろうか。
もし私が自らそっちへ行っても、軽蔑されるだろうか。
自分でもわかっている。
自ら命を絶つのはよくないなんて。
だからお願いです神様。
私を死なせてください。
私じゃなくて、あなたが私を死なせてください。
そうすれば、自殺なんて方法を取らなくて済むでしょ?
「....はぁ。」
やっと家に着いた。
今日はなんだか家路が長かった気がする。
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大学を辞めてから、オンラインのバイトをしている。
一人暮らしの女一人を支えられるくらいは稼げる。
お金には困っていない。
ただ、これから何をしていくかは考えていない。
....考える必要なんかない。
「もう夜だ。」
今日も私は外へ出る。
....あ。
鍵を机に置いたままだ。
まぁこんなボロアパート狙うやつなんかいないだろうし、まぁいいか。
そう思いながらアパートの階段を降りる。
これは人生の教訓としている事だが、夜に手持ち無沙汰になってはいけない。
どうしようもなく悲しく、苦しくなってしまうから。
どうせまだ死ねない私は、それに耐えるくらいなら暑くても寒くても、外にいる方がいい。
割と星空は綺麗なんだ。
月が見えるともっといい。
音の少ない音楽を聴いて道を歩く。
今日は少し違うところに行こうか。
そう思い、いつもと違う道を歩いて土手へ向かう。
「ここをまっすぐ渡る。よし。」
のんびりフラフラと歩く。
五分ほど歩いた時、何かが道に落ちているのを見つけた。
「....プリクラ。」
ザ・女子高生の言葉。
もう二度と、使う事はないだろうな。
昔は何かあるたびに撮りに行ってたな。
私達は全員クラスに友達がいなかった。
六人全員、もれなくクラスがばらばらでもれなくぼっちだった。
だからこそ、放課後は楽しかった。
イヤホンから音楽が流れてくる。
So are you happy now?
【それで、あなたは今幸せなの?】
「....あぁ、ダメだなぁ。」
星空を見上げると、同時に涙がこぼれ落ちた。
「....抜け出せない。」
私はまだ記憶の中にいる。
その中は彼女達が笑っていて、とても楽しそうだ。
あなた達がいるなら、私は幸せだった。
私も早く、そっちに行きたい。
そんな願いは、誰かの失礼に値するだろうか。
でももう苦しくて辛いんだ。
辞めてしまいたいと強く思う。
ごめんなさい神様。
こんな不届きな願いでも聴いてくれますか。
もうダメなんです。私は。
でも勇気がないんです。
「....明日、死ねますように。....帰ろう。」
無駄だと思いつつも神に願い、家路に着こうとUターンする。
すると、いつからいたのだろうか、男の子と目があった。
ずっと私の後ろにいたのだろうか。
高校生くらいだろうか。
....もしかして独り言も聞かれていたかな。
少し気まずくて、軽く会釈をしてその場を立ち去ろうとした。
「....ねぇ。死にたいの?」
「えっ?」
「どうして死にたいの?なんで誰かに死を願うの?」
「....一体誰だか知らないけど、君には関係ないよ。」
「....。」
「....初対面の人に自殺の理由を聞くなんて、失礼だね。」
「自殺の方が失礼だ。」
「....。」
何も言えなかった。
彼の目はずっと私を捉えていた。
これ以上その目を見ていたら、何か壊れてしまう気がして、走ってその場を後にした。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
久しぶりに走った。
体が汗ばんで気持ち悪い。
早くシャワーを浴びよう。
土手を降りてからは歩いた。
家に着くまで、ずっとあの男の子の言葉が繰り返された。
『自殺の方が失礼だ。』
彼はなんでああ言ったのだろうか。
過去に何かあったのだろうか。
そもそも誰なんだ。
....彼女達も、そう思うのだろうか。
もし私が自らそっちへ行っても、軽蔑されるだろうか。
自分でもわかっている。
自ら命を絶つのはよくないなんて。
だからお願いです神様。
私を死なせてください。
私じゃなくて、あなたが私を死なせてください。
そうすれば、自殺なんて方法を取らなくて済むでしょ?
「....はぁ。」
やっと家に着いた。
今日はなんだか家路が長かった気がする。