私の…手…! プロポーズは大好きな花に囲まれて。
……ゆずる
「竹井、新工場の生産ラインはどうなっている?」
「順調に伸びております、今のところ問題もありません」
社長室のテーブルを指でトントントンと叩きながら竹井の報告を聞く。
「何をイライラされているのですか?」
「優秀な秘書と会長のせいだ」
俺の休みが日曜日とは限らない、この所日曜日に会議、出張が重なり、休みが何故か花屋の定休日と重なっていた。
「次の休みは祖母の所に行ってくる、絶対予定を入れるなよ」
秘書の竹井に強く伝えた。
この一ヶ月祖母の所へ顔を出してない、イヤ、それは口実で彼女花井さんが何故か気になるのだ。
こんなことは初めてだ。
自分でもわからない
「本当にそれだけですか?」
俺の指がピクとなる。
竹井の口が僅かに開く
「そういうことにしておきます。報告は以上です。失礼いたします」
ドアに手をかけ、思いだしたように、
「会長からお見合いの話しが来ておりますが、いかがいたしましょう?」
「断っておいてくれ」
「会社にとって大切な相手でも、ですか?」
「今は、それどころではない、見合いはもううんざりだ」
それが本音だった。
「会長にはそのように伝えておきます。」
「あ…たのむ」
まったく、いいかげんにしてくれ、
溜息をつきながら何故か花井さんの笑顔が頭をよこぎった。