私の…手…! プロポーズは大好きな花に囲まれて。
きっかけは祖母からのお願いだった。施設の部屋が寂しいからと花束をたのまれた。
近くの花屋を検索し、たまたま入っただけ、一度だけ、二度目からは施設に頼んで配達を、してもらえばいい。
そんな考えをしていたのに。
面倒と思いながら、店員に声をかけ、振り向いた彼女に笑顔に一瞬癒やされた。
そんな風に女性の笑顔に感じたのも初めてで、今まで俺の周りにいた女性達は邪魔な存在でしかなかったし、会いたいと想うような……
まぁまともな恋愛をして来なかったなぁー。
あの真っ白な心を俺色に染めあげたい、自分でもそんな風に想うだなんて?
俺が花井さんに染めされている。
悪くないな。
ふ〜と深く息を吐き、右手の人差し指で花をちょんと触れる、また息を深く吐く。
青い花びらの海にまた一枚、溺れて見たいそんな気持ち。
出来ることなら俺の海に彼女を溺れてさせて抱きしめたい。
まさか、二度目なんて無い思っていたのに、こんなふうに俺自身が変わるとはな。