私の…手…! プロポーズは大好きな花に囲まれて。
『いつまで、花を眺めているおつもりですか?』
ハットと振り向けば竹井がドアの前に立っていた。
ノックぐらいしろといといえば、大きなためを漏らしながら
『何度も、ノックをしましたよ、な、ん、ど、もです。』
「……」イヤなところを見られたもんだ。
『それとも、今日の会議が心配ですか、心配なら高久工業の令嬢と政略結婚なんて如何です?』
また、そんなことを「社長か?」
私の個人の考えですなんて軽く言ってくる。
これから先の時代、政略結婚なんて意味が無い。
そんなことは竹井も分かっているはずだ、必要なのは次の時代へ繋ぐ技術力、我社のオーディオ部門には高久工業力が必要。
音、モデル、もっと小さく、この先音楽分野はもっと変わる。
我社が未来へ生き残るために。