私の…手…! プロポーズは大好きな花に囲まれて。

 スッと黒の見慣れた車が庭に入ってきて。

 えっ…


 運転席からゆずるさんが右手を上げながら「おはよう」と笑顔で私に向かって歩いてくる。


 助手席からはお祖母様まで。

 私は驚きと、夢?と思いながらその場でボーと立ち尽くし、ゆずるさんが私の頭に手でポンポンとなでる。


 その仕草でスッと目から何がが流れ出し、ゆずるさんがビックリした顔で、


 「ごめん、一分でも早く会いたかったから」



 昨日の夜の電話の会話では何も言ってくれなかったのに、イジワル。


 でも、「うれしい」とゆずるさんの胸にそっと顔を沈めた。
< 57 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop