私の…手…! プロポーズは大好きな花に囲まれて。

 葵が中々戻ってこないから心配になった。

 「ちょっと見てきます」

 席を立とうとしたとき秘書がこっちに走ってくる。

 「社長、葵様が見知らぬ男に絡まれてます」

 俺はすぐに店の外に行き、男が葵の手を掴んでいるのが目に入ってきた。

 「葵!」

 呼んでも反応がない、それどころか青い顔でカタカタ震えている、すぐに男から葵を離しギュッと抱きしめる。

  震えから俺のことも認識出来てない。


 「お前は誰だ、葵に何をした」


 俺は男に殺意を向けた。


 「俺は、アイテックグループの社長だ、目的は何んだ、潰されたいのか」



 こんな状態の葵を見るのは初めてで、抱きしめることしか出来ない。


 葵は俺の腕の中で声をあげて泣きはじめた。
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