捨てられママでしたが、天才外科医に独占欲全開で溺愛されています
トントン。
ノックされふと見上げると真帆の姿があった。

「真帆、仕事は?!」

「何言ってるの。人生の一大イベントよ!私がこの子を一緒に迎えてあげるから。」

「ありがとう…真帆…ありがとう…。」

泣き出した私を見て真帆は「ママになるんだから頑張ろ!」と励ましてくれる。

さっきまで病室で1人苦しんでいたのに真帆が来てくれただけで心強い。

「痛いよー!」

というと真帆が腰を押してくれる。

「大変だからいいよ」
というと
「何言ってるのよ。親友でしょ。遠慮とかなしよ!私が立ち会いたくてきてるの。千佳には私しかいないんだから何でもいいなよ!」
と言ってくれる。

私はお腹が痛いやら嬉しいやら涙が止まらない。

真帆がテニスボールを借りてきてくれ腰を押してくれると陣痛の痛みが和らぐ。

また内診してもらうと8センチまで開いていた。

真帆に支えられ、何とか歩いて分娩室へ向かった。

モニターがつけられ赤ちゃんの心拍が聞こえてくる。

陣痛の波が来ると心拍が落ちている。

「山中さん。赤ちゃんもがんばってますからね。まだいきむには早いからゆっくり呼吸して酸素をいっぱいあげましょうね。」

「はい」

あまりに痛くて正直深呼吸なんて出来ない。
はぁ、はぁ、はぁ…
辛いよ…
助けて…

真帆が変わらず汗だくになりながら私をさすってくれる。

また波が来た…
痛い…

助産師さんが足元でバタバタとお産の準備を始めているのが見える。

もう少しなの?

早く!
もうダメ!

痛い…
痛いよ…昌也。

助けて…
< 12 / 103 >

この作品をシェア

pagetop