捨てられママでしたが、天才外科医に独占欲全開で溺愛されています
退院してからの毎日は戦争だった。

昼夜関係なくなく智也に振り回されっぱなし。

私も智也を抱いて授乳したままウトウトしちゃうなんて日常茶飯事になってきた。

休める時に休まないと、なんていうけど智也はベッドに置くとすぐに泣き出す。

何もできず私まで泣きたくなってしまう。

どうして智也はこんなに泣いてるの?
全然わからない。

10日が過ぎ私は寝不足から精神的に参ってきていた。

ピンポン…
「ちかちゃーん!真帆のお母さんだけど。」

ガチャリと扉を開けると明るいおばちゃんの笑顔が溢れてきた。

「出産おめでとう!入っていい?」

「汚いんだけど…ごめんね。」

「何言ってるのよ!1人で頑張ってるから助けにきたよ!」

おばちゃんは手にいっぱいの袋を下げている。

手を洗うと智也を抱き上げて抱っこする。

「さぁ、千佳ちゃん。ご飯作ってきたからひとまず食べなさい。力が出ないと子育て出来ないよ。」

いつもの明るいおばちゃんが袋を指さした。 

見ると沢山のタッパーが入っている。

「なんでも好きなものから食べ始めなさいね。
根菜は母乳の出をよくするから色々入れてきたわよ。」

このところ私の食事はとても疎かになっていた。

自分がクタクタすぎて食べる気力も無くなっていた。

タッパーを開けるといい匂いがする。
急にお腹が空いて早速食べさせてもらう。

美味しい…
「うわぁーん…」
何故か声をあげて泣きたくなった。
おばちゃんはビックリした顔をしていたが智也を抱きながら私を抱きしめてくれた。

「千佳ちゃん頑張ってるね!偉いよ。おばちゃんにも少しくらい手伝わさせてよ。赤ちゃんってみんなに幸せをくれるんだよ。私にもすこーし分けてちょうだいね。」

「うん、うん…おばちゃん。うわーん…」

「あらあら、泣き虫なママねぇ。でもね、子供が親を育ててくれるの。急にママになれる訳じゃないのよ。だから焦らなくていいの。」

しゃくりあげる私に優しく声をかけてくれる。

「さぁ、千佳ちゃんはともくんのためにもしっかりご飯を食べなさいね。私が抱っこしててあげるから。」

智也はおばちゃんに抱かれておとなしくしている。いつもならグズグズ言うのに。

私はしゃくり上げながらおばちゃんのご飯を食べ進める。

「おばちゃん、美味しい…ありがとう。」

「いいのよ!おばちゃんもともくんが見れて嬉しい。抱っこできて嬉しいもの。真帆はいつになるかわからないしね。」

私に気を遣わせないためにそんなことを言ってくれる。

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